宅建の登録講習を受けると宅建試験でメリットがあるらしいけど、登録講習って、どんなものなんだろう?
受講したほうがよいのか?自分は受講できるんだろうか? と思っていませんか?
ここでは、宅建の登録講習について、ご紹介します。
これを読めば、登録講習のメリットや受講内容などがわかり、自分は受講できるのか?
また、受講したほうがよいのか?の悩みが解決します。
宅建の登録講習とは
宅建登録講習(以下「登録講習」という)とは、宅地建物取引業法第16条第3項に基づく講習で、宅地建物取引業に関する実用的な知識および紛争の防止に関して必要な知識を習得し、宅地建物取引業に関する業務の適正化および資質の向上を図ることを目的としています。
そして、この宅建登録講習は、宅地建物取引業に従事している方を対象にした講習です。
この講習を修了することで、宅建士の本試験で5問が免除してもらえます。
登録講習によく似た名称で、登録実務講習という講習もあります。
登録実務講習は、宅建に合格しており、実務経験が2年未満の方が対象で、修了することで実務経験が2年未満でも、宅建士の申請ができるようになります。
登録講習についての流れを図にすると以下のようになります。
図の赤枠で囲んだ部分が、登録講習です。
登録講習のメリットとは?
登録講習のメリットは、宅建試験での5問免除ですが、ここではもう少し詳しく説明します。
この講習を修了すると、「登録講習修了者証明書」が交付されます。
そして、この修了日から3年以内の宅建試験では、出題数が50問→45問(5問が免除)、試験時間が2時間→1時間50分で受験することができるのです。
免除される問題は、受験者が選べるわけでは無く、あらかじめ決められた問題が免除されます。
具体的には、以下の2項目から出題される5問となります。
- 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること
- 宅地及び建物の需要に関する法令及び実務に関すること
通常は宅建試験の46~50問目で、その範囲は「税・その他」のうちの「その他」に該当する部分です。
これにより、免除された方は合格ラインが引き下げられることになります。
つまり、一般受検者が35点で合格だった場合、5問免除者は30点で合格することができるのです。
令和3年(2021年度)実施分の合格率を例にすると、5問免除者 21.3%、一般受検者 16.7% と4.6%の差がありました。
宅建では1点が合否の境になるので、この5問免除は大きな差になります。
注意しないといけないのは、講習の修了日から3年以内の宅建試験に有効ということなので、3回分の宅建試験に有効というわけではありません。
極端に言うと、講習を修了してから3年間宅建を受験しなかったら、講習は無効になり、一般の受講者と同じ条件になってしまいます。
登録講習の受講要件
登録講習は宅地建物取引業に従事している方が対象なので、講習を受けるには、その証明が必要になります。
その証明をするのが宅建業従業者証明書、いわゆる従業員証です。
受講申込時及び登録講習受講期間中において、有効な「宅建業従業者証明書」を所持していることが要件になります。
この従業員証により、受講申し込み時点、および登録講習受講期間中に宅地建物取引業に従事している事を証明します。
賃貸住宅管理業・マンション管理業など、宅建業(宅地建物取引業)以外の従業者証明書では受講できません。
登録講習の要件には実務経験の有無は問われませんので、宅地建物取引業者の従業者であることが証明できれば、実務経験期間に関係なく受講できます。
従業員証について
宅地建物取引業者の従業員であることの証明のため、従業員証が必要になります。
もともと、宅地建物取引業の従業者は、宅地建物取引業法第48条により、従業者証明書の携帯を義務付けられています。
そのため、記載が必要な項目や従業者証明書番号のつけ方、証明書の有効期間(5年以下)なども定められています。
この従業員証により宅地建物取引業者の従業員であることを証明するのです。
登録講習の内容
次に講習の流れと内容についてです。
講習の流れ
(1)通信講習の受講
送付されるテキストや問題集での自宅学習です。約2ヶ月の受講期間が設定されます。
(2)スクーリング
通信講習後に、約10時間のスクーリングが開催されます。
通常は、2日間コースですが、1日コースを設定している機関もあります。申込時に確認してみてください。
(3)修了試験
通信講習とスクーリングで学習した内容について、1時間程度の試験があります。
7割以上の正解で修了となります。試験問題は20問に対して、14問の正解で修了試験合格となります。
学習する科目
国土交通省令に基づいた6科目について学習することになります。それぞれの講習時間も定められているので、受講する機関により学習内容が大幅に異なることはありません。
学習内容は、宅建士試験で5問免除となる部分の内容も含まれますが、5問免除以外の宅建士試験で出題される項目も多く含まれるので、本番の試験対策としても有効ですね。
具体的な学習科目は、以下の項目です。
- 宅地建物取引業法その他関係法令に関する科目
- 宅地及び建物の取引に係る紛争の防止に関する科目
- 土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関する科目
- 宅地及び建物の需給に関する科目
- 宅地及び建物の調査に関する科目
- 宅地及び建物の取引に係る税務に関する科目
登録講習の実施機関ごとの費用・日程・会場について
ここでは、実施機関に登録されている中で、幅広く開催している大手4社の受講費用や日程、会場についてご紹介します。
様々な資格支援のスクールを展開している機関で、登録講習においては、全国26拠点 約400の日程を設けています。
スクーリングは、3月~5月で設定されています。講習の日程や拠点も多いため、多くの方が利用しやすいでしょう。
受講料は、18,000円(税込)となっています。
資格取得の専門機関で、国土交通大臣の登録を受け、2005年より登録講習を実施しています。
講習は全国で開催され、日程は6日程(スクーリングは、5月~7月)が設定されています。スクーリングは全て生講義になります。
受講料は19,000円(税込)になります。
建築・不動産関連の資格試験予備校で、全国各地で登録講習を実施しています。
スクーリングは4月から7月の間に4期、開催されています。
受講料は、通常料金が16,000円(税込)と、4社の中では最も安い設定です。
さらに、早期に予約すると割引が適用され、12,500円(税込)で受講ができます。
様々な法定講習を開催しており、全国47都道府県で登録講習を開催しています。
地方在住の方が、申し込みやすい機関のひとつです。
スクーリングは2日間のコースが設定されており、会場にもよりますが4月~7月に5コースが設定されています。
受講料は、15,000円(税込)になります。
実施機関は他にもあり、国土交通省が認定している登録講習の実施機関の一覧はこちらです。
講習申込みの注意点
申込際には講習日程に注意が必要です。宅建試験を受験する年の6月までに、講習が完了するようにしましょう。というのは、宅建の本試験の申込時に講習修了者証明書が必要になるからです。
修了時期が遅れると、本試験の申込期限までに講習修了者証明書を得られない場合もあります。
本試験の申込期限までに、講習修了者証明書を入手できていなければ、5問免除が受けられるのは翌年の本試験になってしまいます。
また、間に合ったとしても本試験への申込みが遅くなることで、本試験で希望の会場を選択できなくなる可能性があるからです。
宅建の本試験の申込は、インターネットと郵送で以下のようになっています。
申込方法 | インターネット | 郵送 |
申込期間 | 7/1~7/中旬 | 7/1~7/下旬 |
会場選択 (複数の会場がある場合) | 申込時点で会場選択 | 多くの試験地で、会場の指定は先着順。 |
講習データ | 受験する年の6月中旬*1までに、講習の修了データが試験実施機関*2に送付されていることが必要 | 申込時に、講習修了者証明書が必要 |
*1 講習機関により異なる
*2 不動産適正取引推進機構のこと
便利な会場の指定を受けるには7月早々の申込が必要とすると、6月末までに講習修了者証明書を取得しておく必要があります。
希望する講習日程を確保するのも先着順なので、登録講習の一般的な流れから逆算すると受験する年の3月までに申込しておくと、余裕が持てると思います。
まとめ
いかがでしたでしょう?登録講習について、内容やメリット、申込に必要な従業員証や申込先、申込む際の注意点などについてまとめました。
登録講習を申込む際には、申込みの時期の他、予算やアクセスなど、ご自身のニーズに合わせて受講機関を選択してください。
※登録講習の日程や詳しい費用などにつきましては各機関にお問い合わせください。