まず、改正の頻度について結論を先にいうと、結構な頻度で改正があります。
例えば、ここ数年の宅建業法(宅地建物取引業法)を例にとると、平均で2回/年、改正がされているんです。
これ、結構な頻度ですよね。
ここでは、法律に関して、仕組みや改正頻度、直接法令を読む時のコツなどを紹介します。
宅建試験に、直接の関係はありませんが、よければ、学習の息抜きとして読んでください。
法律の種類
この中では国際間の文書(条約、議定書、協定、宣言)などが、国家間または国家と国際機関の間に交わされます。条約などは原則として国内法よりも優先されます。
一般的には条約上の義務履行のため、別に国内法が制定されます。
では、国内では、どうなのでしょう。
これには、国に関する法律・命令等と地方公共団体に関連する条例があります。
これらを図にすると以下のようになります。
・法律は、原則として国会の衆参両院の議決を経て制定されるもので、憲法、条約に次ぐ効力をもちます。呼び方としては「~法」となるものですね。
・命令の中の政令は、法律の規定を順守するために改革が制定する命令です。
名称としては、「~法施行令」と呼ばれます。
・省令は、各省の大臣がその主任の行政事務について発する命令です。
名称として「~法施行規則」と呼ばれます。
・告示は、公の機関がその指定・決定等の処分、その他の事項を一般に知らせる事です。
「~に関する基準」「~の規定に基づく区域」などと呼ばれるものがあります。
・通達(通知)は、公の上級機関が所管の諸機関に命令または示達する形式の一つです。法令の解釈、運用、行政執行の方針などを伝えるものです。実務の運用者向け資料といったところでしょうか。
・条例は、地方自治体の行政事務、地方自治について、地方自治体の議会の議決により制定されます。
・協定は、2以上の当事者が取り決めた合意によります。
ちなみに、宅建の試験範囲は以下ように決められています。
試験の基準及び内容
宅地建物取引業に関する実用的な知識を有するかどうかを判定することに基準が置かれています。(宅建業法施行規則第7条)
試験の内容は、おおむね次のとおりです。(同第8条)土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
一般財団法人不動産適正取引推進機構 HPより抜粋
土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
宅地及び建物の価格の評定に関すること。
宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。
※出題の根拠となる法令は、試験を実施する年度の4月1日現在施行されているものです。
法令というと、一般的には「法律」、「命令」が該当するので、宅建試験の範囲になるのは、法律、命令(政令、省令)の範囲になりますね。
公布と施行
公布とは、法律、命令を周知させる公式の手続を指します。
施行とは、法律、命令の効力を現実に発生させることをいいます。
つまり、法令を知らせて(公布)、その後、その法律で決められた内容で規制する(施行)という順で進むんですね。
なので、公布日よりも施行日が前にくることはないですね。
条文の「条」「項」「号」の読み方
条文は、「条」と「項」からできています。
項は、条文の段落のことです。算用数字が付されている部分がそれです。
このとき注意が必要です、実は第 1 項だけは数字が付されないんです。
このことを知らないと、条文を確認するさいに混乱します。
「号」は、いくつかの事柄を 列記するときに使われます。
「条」にも「項」にも 使われ、「第○条第×号」のように「項」がないと きにも使われるのです。
ちょっとわかりずらいですが、「条、項、号」の順で条文が構成されているわけではありません。
では、実際の条文を見てみましょう。
(宅地建物取引業者名簿)
第八条 国土交通省及び都道府県に、それぞれ宅地建物取引業者名簿を備える。
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿に、国土交通大臣にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者に関する次に掲げる事項を、都道府県知事にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者及び国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者で当該都道府県の区域内に主たる事務所を有するものに関する次に掲げる事項を登載しなければならない。
一 免許証番号及び免許の年月日
二 商号又は名称
以下省略
本来の条文に対して、意味するところを赤文字で追記すると以下のようになります。
(宅地建物取引業者名簿)
第八条
第1項 国土交通省及び都道府県に、それぞれ宅地建物取引業者名簿を備える。
第2項 国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿に、国土交通大臣にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者に関する次に掲げる事項を、都道府県知事にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者及び国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者で当該都道府県の区域内に主たる事務所を有するものに関する次に掲げる事項を登載しなければならない。
第2項 第一号 免許証番号及び免許の年月日
第2項 第二号 商号又は名称
以下省略
条文そのものを読むのは、これを知っていないと、訳が分からなくなってしまいますので、注意してくださいね。
法、施行令、施行規則のつながり
先に法、施行令、施行規則がどのように発せられるかは、先に紹介しましたので、お判りだと思いますが、それぞれの条文には次のように関係つけられます。
条文の主語に注意
条文を読む場合には、主語の部分に注意しましょう。
主語を見ることで「誰が」行う者か、「誰が」対象になるのか?がわかります。
例としては、こんな感じですね。
(変更の届出)
宅地建物取引業法より抜粋
第九条 宅地建物取引業者は、前条第二項第二号から第六号までに掲げる事項について変更があつた場合においては、国土交通省令の定めるところにより、三十日以内に、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。
(宅地建物取引業者名簿等の閲覧)
第十条 国土交通大臣又は都道府県知事は、国土交通省令の定めるところにより、宅地建物取引業者名簿並びに免許の申請及び前条の届出に係る書類又はこれらの写しを一般の閲覧に供しなければならない。
条文の語尾に注意
法文の主語に注意としましたが、語尾にも注意が必要です。
語尾により、義務か努力義務かが違ってきます。
~しなければならない
~してはならない
これらは、義務を表現しており、罰則があると考えてください。
~に努めなければならない
~協力しなければならない
~の責務を有する
これらは、努力義務なので、罰則はありません。
改正の頻度
さて、冒頭で紹介した、改正の頻度に関してもう少し詳細に紹介します。
宅建業法(宅地建物取引業法)を確認すると、平成28年(2016年)から令和4年(2022年)の7年間の間に、施行日で数えて13回も改正されています。
多い年、少ない年があるようですが、平均すると約2回/年ということになります。
こんなに頻繁に改正しているの?というのが、素直な感想ですよね。
これは、他の法律の改正により、宅建業法の内容も改正する必要があるからですね。
宅建業法(宅地建物取引業法)の改正の例を挙げると、所得税法の一部が改正されたことによる改正もありました。
所得税法等の一部を改正する法律(令和二年法律第八号)
R02.03.31 公布 / R04.04.01 施行
そして、この7年間で13回という数は、宅地建物取引業法に係わる改正だけです。
先にも紹介しましたが、宅地建物取引業法にも施行令、施行規則があります。
宅地建物取引業法
――宅地建物取引業法施行令
――――宅地建物取引業法施行規則
今回、冒頭で紹介した改正の頻度は、そのうちの宅地建物取引業法についてだけなんです。
それぞれの法令を調べてみると、平成28年(2016年)から令和4年(2022年)の7年間の間、施行日で数えると、次のようになりました。
宅地建物取引業法 :13回
宅地建物取引業法施行令 : 25回
宅地建物取引業法施行規則: 13回
合計すると51回。
かなりの数ですね。
施行令、施行規則は規則内容の細かさなどが違う為、それぞれ改正される頻度や内容が異なります。
例えば、宅地建物取引業法施行令では
港湾法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和四年政令第三百八十一号)
R04.12.14 公布 / R04.12.16 施行
を理由に改正されていますが、宅地建物取引業法は、この理由で改正はされていません。
こんな理由で、改正の回数が違ってくるんですね。
今回のまとめ
法令の仕組みや改正の頻度などは、直接宅建の試験に問題として、出題されることはありません。
今回は、学習の合間の息抜きのための内容でした。
いかがでしたでしょう。息抜きになったでしょうか?
さあ、また気持ちを入れなおして学習しましょう。
きっと、合格できます。
あなたが試験に合格できるよう、応援しています。