今回は、権利関係の中の借地借家法について、その中でも借地権に関しての覚え方について紹介します。
普通・定期の借地権、一般や事業用など、それぞれ存続期間や更新などが微妙に違ってます。
微妙に違ってくるので、混同しやすいんですよね。
これは、暗記というより、理解をしましょう。
理解をすることで混同せず、覚えられます。
今回は、その理解するポイントを紹介します。
ポイントを押さえることで、すぐに思い出せるようになります。
例年1問出題されますので、得意にすることで、ここは得点源になります。
さあ、はじめましょう。
借地借家法の借地権の覚え方
まず借地借家法とありますが、それぞれを文字からもう一度確認しましょう。
借地と借家ですよね。
土地を借りる。家を借りる。つまり、土地や建物を借りる場合に関係する法律のことです。
ここでイメージです。
あなたの自宅の向かいに広大な空き地があったとします。自然な空間が好きなあなたは、薪ストーブを備えた小さなログハウスをつくろう。とログハウスを建て始めます。
これは、いけませんよね。
この日本において、基本土地は誰かが所有しています。誰かの土地を勝手には使用できません。
借地権とは、建物を建てるために、地代を支払って、他人から土地を借りる権利のことなんです。
先ほどのたとえに戻ると、目の前の土地にログハウスを建てたいあなたは、まずその地主に建物を建てたい旨を伝え、地代を払う代わりに建物を建てられる土地を借ります。
その際に設定するのが借地権です。
この表は参考書などに必ず載っていますから、皆さんも目にしていますよね。
この図では、普通借地権からの違い(特徴的な部分)を黄色セルにしています。
吹き出しでも、説明を入れていますが、これから、具体的にその説明をしていきます。
3つの定期借地権の特徴
普通借地権と定期借地権がありますが、その定期借地権には3つの種類があります。
一般定期借地権、事業専用借地権、建物譲渡特約付き借地権です。
意味は、その名の通りで、事業用定期借地権は、事業用の建物のみに設定されるもので、契約法は公正証書に限ります。
契約を結ぶのに、一番厳密となるものですね。
事業なので、全てにおいてキッチリと形に残しておく。そのようなイメージでしょうか。
建物譲渡特約付き借地権は、これも名前のとおり、存続期間が終われば建物を一緒につけてお返しします。というものです。
更新について
先ほど説明した「借地権」の前に、とある文字がくっついています。
そう「普通」と「定期」です。
この「定期」の文字から読み取るのは、「定期」なので、期間に定めがあるということです。
ちなみに、建物譲渡特約付き借地権は「定期」借地権の一種ですが、名前に「定期」はついていないんですよね。
ここらへんが、理解しにくくしているところですよね。
では、この表の更新の欄を確認してください。
「定期」の借地権は、全て「更新なし」です。
もともと期間に定めがある権利なので、更新はないんですね。
もちろん、再契約することはできますが、それは更新ではありません。
この意味を理解できれば、「一般定期借地権は更新ありだっけ、なしだっけ?」と思い出す必要はありません。
「定期」の借地権であれば、更新はないのです。
意味を理解するということが、わかってきましたでしょうか?
更新がある普通借地権ですが、その更新は、最初の更新は20年、次が10年ですね。
契約の存続期間も合わせて見直すと、はじめの存続期間は30年、次から更新で20年、その次が10年と、更新毎に短くなっていく。と理解すればいいのです。
契約の存続期間について
契約の存続期間については、普通借地権が30年以上、一般定期借地権は50年以上、事業用定期借地権は10年以上50年未満。建物譲渡特約付き借地権が30年以上となっています。
ここらへんは、いざ試験で出てくると、「どうだったっけ?」と悩ます部分ですね。
こう頭に入れましょう。
- 「定期」という言葉が名前の中にあるかないか。
あれば、存続期間は50年。 - その上で「事業用」が名前の中に入っていれば、「事業用」の「じ」から、10年以上。
だから事業用定期借地権は10年以上、50年未満。 - 上の2つ以外は30年。
対象は、普通借地権と、建物譲渡特約付き借地権ですね。
または、基本の存続期間は30年で、上記①、②が違う。と覚えましょう。
どの内容でもそうですが、丸々、正確に暗記するのは労力が必要になります。
理解しポイントを絞ることで、暗記をする分量が減らせます。
覚える分量を減らせれば、他に覚えることを増やせるのです。
こうして、タイパ、コスパよく覚えていくことが大切です。
契約方法について
次は契約方法です。これもよく出題されます。
一般定期借地権と事業用定期借地権は、書面による契約しか認められていません。
つまり名前に「定期」の文字が付くのは書面が必要なんですね。
その中で事業用は厳しく設定され、書面は公正証書が必要なんですね。
やっぱり事業をするっていうのは、簡単じゃないですね。
利用目的について
次は利用目的です
よく、事業用定期借地権についてのひっかけ問題として、「居住用建物でも設定できる」などの問題が出てきます。
これは名前の通り、「事業用」定期借地権なので、事業用の建物しか適用されません。
たとえ事業を行う為の従業員が居住する建物であってもダメなんです。注意しておきましょう。
買取請求権について
次は買取請求権です。
建物譲渡特約付き借地権は、もともとの契約で建物を譲渡することが前提のため、建物買取請求権は設定されません。
わざわざ設定する必要がない。ということですね。
買取請求権を認めるのは普通借地権と覚えておけばよいでしょう。
まとめ
借地権に関しては、丸暗記しようとするのではなく、表と意味を理解することで思い出すことができます。
何しろ借地権の名前の中に、その権利の意味や思い出すヒントが入っているのですから、試験では簡単に、かつ間違えずに思い出すことができます。
この方法で理解し覚えれば、借地権に関して、十分に得点源にすることができるのです。
それでは、皆さんの検討をお祈りしています。